エアコン機器に充填されているR22・R410A・R32等のフロンガス。
フロンガスはオゾン層を破壊し、地球温暖化を促進してしまう物なのはご存知だと思います。
そして、ノンフロン冷媒(自然冷媒)としてR443Aと言う冷媒ガスが有る。
フロンを使っていないノンフロン冷媒はオゾン層破壊や地球温暖化係数が、フロンガスより極端に低い冷媒です。
今回、上記のノンフロン冷媒についての注意点をお伝えしていきます。
こんな話しを聞きませんか?
- 『現在充填されているフロンガスを抜き、ノンフロン冷媒を充填する』
- 『電気代が節約でき、且つ機器寿命が延びる』
今回は、もし私がこういう提案を受けたらどうするか?って所をお話しします。
私ならどうするか?
私なら、『話しも聞きません。キッパリ断ります』。
それはどうしてか?
その1
ノンフロン冷媒⇒R443Aという冷媒ガスは、プロピレン・プロパン・イソブタンで構成されているガスです。
プロピレン⇒可燃性ガス
プロパン⇒可燃性ガス
イソブタン⇒可燃性ガス
どれも可燃性のガスですので、危険極まりない。
室内機から漏れたらどうするのかな?と思いますね。家庭で使っているプロパンガスと同じ臭いをつけているようですが、漏れ出したらガス栓が有る訳ではないので止められませんよ。
運転中に漏れたら送風機によって部屋中に拡散しちゃいますね。
火を使ってようものなら・・・。
(ちなみにエアコンの故障原因は、基板故障・ガス漏れが圧倒的多いですよ。)
その2
メーカーは指定冷媒以外を入れた場合、その機器の修理・メンテナンス等を一切受け付けないのです。
あわてて冷媒を戻しても、一切受付してもらえません。
そして、しょうがないから機器入替のみしてもダメです。その冷媒を使用した現地配管もやり直さないといけません。
『効果が出なかったら、元の冷媒に戻す』なんてのも聞きますが、一度入れたら一切見てもらえなくなりますので注意が必要です。(保障期間であっても)
その3
ノンフロン冷媒自体は冷蔵庫等に使用されていますが、冷媒量が違います。
冷蔵庫等の冷媒量っていうのは非常に少ないです。
大体100g程です。
漏れてしまったとしても大丈夫な量です。
エアコンはどうか?
もちろんエアコンの能力により、冷媒量は違います。
家庭用ルームエアコンで500g〜2kg辺りですね。
業務用だと、良く使われている80クラス〜160クラスだと3〜4kg。
ビル用マルチ等だと何十kgも入ってるのも有ります。
まぁ、ノンフロン冷媒は充填量が少なくなるみたいですが(半分位?)、それでも漏れたらと考えると・・・。
そして、エアコンのガス漏れは結構起こりますからね。
その4
電気代が落ちるっていうのも疑問。
この理論(もちろん実験もしているだろうが)は、どうなのかな?と思う。
運転圧力を下げる事によって、圧縮機負荷を減らし、電流値を下げるというものなのだろう。
R443Aを入れたエアコンの圧力特性を聞いた事が有ります。
低圧は元の冷媒と同じ位だけど、高圧が結構低いって感じらしい。
このことから、高圧を下げて電流値を下げるっていうものなのだろう。
しかし、エアコンには各種温度センサー・圧力センサー・冷媒流量調整の電動弁が有る。
それは元の冷媒基準に調整されるので、どうなのか?って所ですね。
その5
その4の、高圧を下げて電流値を下げる仕組みの延長です。
冷媒R22からR410A・R32へ変化しました。
これにより運転圧力はどうなったか?です。高圧でお話しします。
R22⇒1.9Mpa位
R410A⇒3Mpa位
R32⇒3Mpa位
※R410AとR32は、R32の方が若干運転圧力が高いのですが、微々たる物ですので見分けがつきません。
これは何が言いたいかというと、
高圧ではR22が低いですよね。しかしオゾン層破壊係数が大きいので、R410Aが代替フロンとして出てきました。しかし圧力がR22より1Mpa程高いですよね。
もし、ノンフロン冷媒が優れているなら、どうしてメーカーは使わないのか?って所です。
圧力も低くて良い・温暖化係数も低いのにです。
それはおそらく安全性が確保出来ないのでしょう。
何といっても強可燃性ガスです。安全には変えられないというのが分かりますね。
ちなみに、R32は可燃性ガス(微弱)ですよ。
ですが、漏れても引火する事は無いのでメーカーは新冷媒として使っています。
強可燃性ガスのR443Aを使わないのは、安全が確保できないからでしょう。
安全が確保でき、省エネ・温暖化防止に優れているなら、メーカーはスグに使うでしょっていうのが私の見解です。
まとめ
今回のノンフロン冷媒のお話しは、あくまでも私個人の考えを述べているにすぎません。
私自身が実験等した訳では無いので、信憑性もありません。
(参考にする・しないは個人の自由です。)
あくまで私自身なら冷媒ガスを入れ替える事はしない、そして入れ替えて有る機器を発見したら、たとえ重要なお客さんだったとしても、修理・メンテナンス等断りますね。